算数 数学

数の悪魔について update 20140806

★「数の悪魔」について

単行本は売れに売れてベストセラーだったようですが、手元にあるのは普及版としてペーパーバック化したものです。

 

2000年9月10日2刷となっていますが、2000年9月5日初刷となっていますから、ペーパーバック版も売れに売れたようです。

 

帯には「10歳からみんな数学ぎらいが治ります。」とあり、「大反響、ぞくぞく!」として(12歳男子)や(15歳女子)から「面白くて分かりやすい」とか、「物語としても楽しく、イラストもかわいい」というメッセージがあったり、「小6と小4の息子がすっかりはまってしまった」(37歳男性)というのもあります。

 

大人たちからも好評の様子です。

 

ところで「かずのあくま」と読むのでしょうか、「すうのあくま」と読むのでしょうか?

 

広辞苑では「数(かず)@一つ、二つ、三つなど、ものを個々にかぞえて得られる値。この概念(自然数)を拡張した抽象的概念(普通には「すう」と呼ぶ)をもいう。A・・・」とありますので、「すうのあくま」と読むのが状況に合っていそうです。

 

「10歳から・・・」とありますが、日本では小学校高学年以上の読者を対象にした本なのだと思われます。

 

日本では小学校で学習する数学は算数という教科名で呼ばれています。中学から習う数学とは何が違うのでしょうか。

 

中学数学では、文字式を使うことで計算を一般化しています。この文字式で組み上げられた方程式を操ることで「鶴亀算」や「旅人算」から解放されます。

 

連立方程式の解法や2次方程式の一般解まで一気に進んでしまいます。算数とは、文字を使って数(かず)を抽象化した後の式の操作が戸惑うことなくできるようになるための準備の期間ということができるでしょう。

 

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----- ここまで 20120201 -----

●第1夜

少年ロバートの夢の中に現れた「数の悪魔」。悪魔はまず「1」から始めました(はじめの一歩)。

 

すべては「1」を丹念に足し合わせていくことで表現されるのですね。

 

大きなほうの数は確かに1の足し算ですが、小さいほうの数は分数の分母を1から足し合わせることで表せることに気がつきました。

 

そして1〜9の数字は、1のみで構成される数字の掛け算で作り出せるのでした。

 

111,111,111(9桁)×111,111,111(9桁)=
12,345,678,987,654,321(17桁)

 

それではロバートが言い出して、悪魔が答えに到達しなかった計算をやってみましょう。

 

11,111,111,111(11桁)×11,111,111,111(11桁)=
123,456,790,120,987,654,321(21桁)

 

ちなみにエクセルで計算させると
⇒123,456,790,120,988,000,000

 

倍精度で計算させないといけないのでしょう。

 

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----- ここまで 20120202 -----

●第2夜

第2夜で「0」が登場します。「0」は引き算を経験することではじめて理解できる概念です。

 

第1夜では足し算が暗黙のうちに了解されていましたが、第2夜では引き算を意識的に扱うことで「0」を登場させました。

 

そして「0」を挟んで正の反対側にある負の数の世界に一気に踏み込んでいきます。

 

また第1夜でさりげなく使っていた「11」や「111」の数字について「1が2個並んでいる」とか、「1が3個並んでいる」とかに理解するのではなく、「十一」とか「百十一」というように位取りをしてひとかたまりの数字として理解できるのも「0」のおかげだといっています。

 

「累乗」を「ホップ」すると表現して、「10」の累乗を使った足し算で、10以上の数字を表わす方法と意味について言及しています。
1986 = 6×1+ 8×10+ 9×100+ 1×1000

 

10^1=10
10^2=100
10^3=1000

 

ここまで書いたのなら、10^0=1とまで言い切っても悪魔ならOKだったのではないかと思うのですが、とうとう言わずにロバートの夢が覚めてしまいました。

 

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----- ここまで 20120203 -----

●第3夜

素数

 

素数とは1とそれ自身以外には約数をもたない数(正整数)ということと、最大公約数とか最小公倍数とかを求めるにあたって、数字を素因数分解するとき素数を使った記憶があります。

 

エラトステネスのふるい以外には素数を見つけ出す方法はないでしょうか。

 

物質の世界ではこの世を構成する根源があるはずだとしてアトム(原子)を発見しましたが、やがて原子を構成する素粒子を見出され、さらに素粒子を構成するクォークが確認され、そして物質は極微のひもが振動して生成されるという理論に至っています。

 

数(整数)においては、素数は物質におけるアトム(原子)になぞらえられます。

 

物質のほうはひとつの根源にいきあたるはずだという信念をもって研究が進んでいますが、数(整数)における素数は無限にあることが証明されています。

 

素数においては、全ての素数を生成する方程式がはあるのか、というところに関心があるのでしょうか?

 

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----- ここまで 20120207 -----

●第4夜

任意の整数をNとした場合、「ホップする」とは、N^1とかN^2とかN^3とかで表しています。
現在のホップ数をnとすると、「ホップする」とはN^(n+1)と、肩にあるnを1増やすことなのです。

 

ですから「後ろにホップする」とはN^(n-1)と、肩にあるnから1減ずることなのです。
一方「大根を抜く」と表現されているのは平方根をとることですから、N^nの平方根をとると、√(N^n)となって、指数表現では、N^(n/2)と肩にあるnを2で割ることなのです。

 

第4夜の72ページ6行目「【後ろにホップする】じゃなくて【大根を抜く】って言うんだ」の表現では、N^(n-1)=N^(n/2)であるとの誤解を招く表現になっています。
ちなみに、この式が成立するのは、nの値が2のときです。

 

大根を抜いてわけの分からなくなった数字を、あっさり無理数と言ってしまいました。何が「無理」なとかは教えてくれていません。

 

その秘密は後日明かされるのかもしれません。無理数の対極にあるのが有理数で、有理数は分母と分子が整数同士の分数で表すことができる数のことです。
無理数は分数のような簡便な表記では記述できない、やっかいな数ということになります。

 

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----- ここまで 20120217 -----

●第5夜

三角数と四角(平方)数
数列の考え方を自然なかたちで導入するために、まず視覚に訴えやすい図形から連想からはじめたのでしょう。

 

三角数は
自然数⇒1  2  3  4  5  6  7  8  9  10 ⇒ n
三角数⇒1  3  6 10 15 21 28 36 45  55 ⇒ (n(n+1))/2

 

四角数は
奇□数⇒1  3  5  7  9 11 13 15 17  19 ⇒ 2n−1
四角数⇒1  4  9 16 25 36 49 64 81 100 ⇒ n^2

 

数の連なりで言えば、いくらでもありそうな気がするのですが、形と数が結びつくとなにやら神秘的なものに思われてきます。

 

三角数や四角(平方)数があるならば、それ以上の五角数や六角数はあるのでしょうか?というのは普通に起こる疑問です。五角数や六角数があるばかりではなく、多角数ということで、いくらでもあるようです。

 

p角数のとき、n番目の数Nは次のとおりだそうです。

 

N=((p−2)n^2−(p−4)n)/2

 

だから
p=2 ⇒ N=2n
p=3 ⇒ (n^2+n)/2
p=4 ⇒ N=n^2
p=5 ⇒ n(3n−1)
・・・

 

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----- ここまで 20120218 -----

●第6夜

フィボナッチ

 

そもそもフィボナッチはどんな発想でフィボナッチ数を考えたのかと思ったら、このウサギの問題でした。原点なわけなのです。

 

1202年にフィボナッチの「算盤の書」に書かれている内容だそうです。

 

もともとはインドの数学がフィボナッチ数を発見しているのとのコトですが、書にし、世の出した者の名前がつくというのが歴史の示すところです。

 

数学を含む科学史は、18世紀から19世紀にかけて軍事科学に支えられたパワーによって世界を席巻した欧州を中心に記述されることが多いため、概して欧州の周辺の業績を正当には評価していないのが現実でした。

 

「1つがいのウサギは、産まれて2カ月後から毎月1つがいづつウサギを産む。1つがいのウサギは、1年間に何つがいのウサギになるか?」
悪魔とロバートが取り組んでいたのは、「算盤の書」に書かれていた問題ずばりだったんですね。

 

フィボナッチ数は自然のいたるところに顔を出していますよ、ということなのですが、・花びらの数はフィボナッチ数であることが多い・・・ ・ミツバチの家系を辿っていくと、フィボナッチ数列が現われる・・・ などなど。

 

惑星の公転周期とフィボナッチ数の関連を示す文書も散見されますが、あまりピンと来ません。

 

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----- ここまで 20120219 -----

 

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